エンジニアリング、マネジメント、日常、生活

時がうつろい環境が変われば好みや感じかたに変化が出るという事実を織り込み,それらも含んだ多くの要因の交互作用の中で,あらゆる営みは行われている(前田, 2014, p. 375)。

【いきなり1on1記録】第十七回・そーだいさん

いきなり1on1とは?

こちらをご覧ください
nitt-san.hatenablog.com

概要

場所

着席位置

  • 正面

1on1相手

1on1時間

71分

受け手からのフィードバック(一部プライバシーに関する所をカットしています)

普段業務で1on1をしているか?

している

nitt-sanと会って話したことのある回数

初対面

ご自分の仕事・趣味・人生などへ、何かプラスになることはあったか?(5段階評価・5が最高)

4

nitt-sanの1on1コーチの技量をどう思いましたか?(5段階評価・5が最高)

4

本日の1on1全体の感想を教えてください

丁寧に話題をまとめており、ヒヤリングする技術の高さを感じた

nitt-sanに対し『ここがよかった』『今後も続けたほうがいい』と思ったことはありますか?

グラレコするのは話す側の情報整理にもなるので良い。
また事前に準備されており、template化されているのもいい。

nitt-sanに対し『ここが気になった』『今後は控えたほうがいい』と思ったことはありますか?

templateがもう少し掘り下げる部分が最初からあっていいと思う。
特に初見の場合、コンテキストをヒヤリングするだけでそれなりの時間が掛かってしまうため。

ふりかえり

自走の先にある壁と対峙した人との対峙について

『この先のロールモデルを持つ人が見つからない』。
ソフトウェアエンジニアリングに対し、自分のキャリアに戦略を持って走った上で特殊な経歴を経てきたそーだいさんが持つ悩みもまた、ひとつの孤独の形だったように思います。
話していく過程で問題を頭の中で整理して頂くことは出来ました。しかし、自省を伴ってアクションを自ら思いついてもらうことは残念ながら出来ませんでした。
ジェネラリストとして最先端をひた走るプレイヤー・マネージャーと向き合うというのはこういうことなのかと、肌で感じることが出来た貴重な体験でした。
多分この活動を始めた頃の自分ではきっと何も掘り下げることは出来なかったでしょう。恐らくあと2, 3回やる事が出来れば、また違うアプローチが取れたのではという感覚がありました。
もっと速く相手自身と、相手の問題を理解し、もっと早くコンテキストのレベルを揃え、もっと様々な角度から問いかける事が出来なくてはいけないと思いました。

自分自身の弱虫を

先日行われたいきなり1on1で教育心理学を用いてふりかえって成長する会で、ひとりこっそりと感じていた違和感を通じ、今回の1on1で、前々から自分自身に対して思っていたことをふたつ、確信にすることが出来ました。
いずれも『この人は自分より格上だと、自分が思っている / 思い込んでいる人と、同じテーブルで話をする機会』で発生します。
そして自分は今回の相手であるそーだいさんを、明らかに自分よりも格上だと感じながら1on1をしていたことを明記します。

自分で決めたやり方は、納得いく理由が自分に説明できないなら変えない

一つ目は、『極端に自信が無くなること』です。
今回いくつかの事柄について、いつもと違うやり方で1on1を実施し、これにより以下のような問題が発生しました。

  • そーだいさんはずっとメモを取るためにPCを開いていた
    • そのため、ディスプレイに阻まれ、ノートに書いた事柄をリアルタイムに連携しながら話をすることが出来なかった
  • ヒアリングシートに書かず、スプレッドシートに事前に情報を書いて連携していた

これらはそーだいさんからこうしたいと提案があり、自分はあまり深く考えずに「いいですよ」と答えたことです。
1on1が終わった後、いつもよりもずっと何かが頭の中でモヤモヤと残っていた帰り道で、「本当に今日のやり方でよかったのか、今日自分はコーチとしてのベストを尽くせたのか」を小一時間ほど自問自答し、どうやら原因に思い当たりました。
これは心のどこかで『自分よりも知識も経験もあるそーだいさんが言っていることなんだから、別に何の問題もないに違いない』と考えたことが原因で、問題です。
冒頭に『自信が無くなること』と書きましたが、自信の無さを言い訳にして、そーだいさんの決定に軽々しく依存したのだなという、明らかな自覚があります。これまでのやり方は、自分自身が経験したことから、自分自身にとって最適な方法へとカスタマイズした手法だったはずなのに。
もし自分のやり方を曲げていなければ。今回、自分がやり方を曲げたせいで、そーだいさんの自省に繋がるほどの掘り下げが出来ず、悩んでいることの解決への道筋を立てられなかったのだとしたら、これはコーチとしての怠慢以外の何でしょうか。
自分で決めたやり方は、納得いく理由が自分に説明できないなら変えないようにしようと思いました。定期的に振り返って、その都度もっと良いやり方へ変えていくことが出来ていれば、それでいいはずです。

自信を持って傾聴し続けること

二つ目は、『何としても自分の価値を相手に見せ、バリューを持ち帰ってもらわなくてはならないと意気込みすぎてしまうこと』です。
おそらくこれ自体は悪いことではありません。が、今回終盤に整理したノートを見ながらどうにも行き詰まった瞬間、『このままではダメだ、自分と1on1をやる意味を出さなくてはならない』という考えが頭をよぎったことを自覚しています。
これにより、バリューを持って帰ってもらうために、バリューを出そうとして出したものが、急いで出してしまった結論だったことが問題です。
コーチングとは『相手の中に答えがあり、それを引き出すこと』を徹底徹尾追求することです。そのための傾聴、そのための問いかけ、そのためのコミュニケーションスキルであるはずです。これまでの活動で、自分はずっとそれらを追求してきました。
コーチングの場においては、知識の差や経験の差は相手の自省に何も影響しません。いかなる理由をもってしても、コーチがコーチングを放棄することは、相手の自省にマイナスの影響しか与えません。
これからは相手が誰であろうと自信を持って傾聴をし続けようと思います。相手の中にある答えを、全力で引き出すために。