言語化に失敗した話
言語化は難しい
私は、他人に何かを説明する事が苦手な人間だ。
誰かに何かを伝えようとする際、例えば以下のような事がよく起きる。
- 話している途中で、突然結局自分が何を言いたかったのかがわからなくなる
- なんだかこそあど言葉を多用してしまい、結論が相手にうまく伝わらない話になってしまう
- 関係ないことを突然口走ってしまい、軽く脱線して混乱させてしまう
- 論理の矛盾や穴・検討し切れていないパターンに、誰かに説明している最中に気付き、突然自問自答し出してしまう
ああ、自分はなんて話が下手な人間なんだろう…と自己嫌悪していたのだが、メンバーと1on1を繰り返していると、メンバーの発言の中でもこういったことがよく起きている事に気付いた。
それも特定の誰かがではなく、頻度や程度の差はあれ、全員このような事が起きるのである。
これは、私個人が話し下手な性格・特性だからではなく、原因は別のところにあるのではないか。
実例
広木大地さんの「能力は習慣の積分、習慣は行動の積分」って言葉は、こんなカッコいいことそうそう言えないと思うんだけど、先日のメンバーとの1on1で引き合いに出した時何故かド忘れしてしまい、「能力は習慣の積分。習慣は…習慣はなんたらの積分…」となってしまい、実にカッコがつかなかった。
— nitt-san (@nitt_san) 2018年11月14日
この時、実際にはこのような話だった。
「最近朝から喫茶店で本読んでるんよ。ブログの…じゃない。こないだ読んだ本にメッチャいい言葉が書いてあって、『能力は積分の、えー、違う。能力は、えー、習慣の積分!で、習慣は、習慣はー…あの、なんたらの積分…?」
どうしてこうなった
この時、話をしながら自分の頭の中で何を考えていたかを大まかに挙げる。
話し始め
- このメンバーは新しいことに取り組もうとする行動が見えにくい
- 最近自分がひとつ成長するために取り組んでることを話そう
- 朝から読書することを習慣づけようとしていることでいいや
アウトプット開始
あ、結論から話さないと…
- 「最近朝から喫茶店で本読んでるんよ。」
習慣付けようとして…あれ、なんで習慣付けようとしたんだっけ…もともとはてぃーびーさんのブログで… 違う、それは手法だ。そうだ、『エンジニアリング組織論への招待』の
- 「ブログの…じゃない。こないだ読んだ本にメッチャいい言葉が書いてあって」
能力は習慣の積分…あれ、積分って何だっけ。積分、あの数学のアレだよ
- 「能力は積分の」
-
- 「えー、違う。能力は、えー、」
能力は習慣の積み重ね、で、習慣は
- 「習慣の積分!で、習慣は、習慣はー」
何の積分だっけ…
- 「あの、なんたらの積分…?」
振り返る
結論から話そうとしたこと
結論から話すことそのものは間違っていないが、結論が違う。
そもそも相手には、新しいことに取り組もうとする行動を見えるようにしてほしかったのだ。
私が朝から本を読んでいることは結論ではない。
→ 自分が相手に伝えようとする結論を誤らないようにする。
なぜやろうとしたのかのキッカケを忘れていたこと
元々エンジニアリング組織論の『能力は習慣の積分、習慣は行動の積分』を読んだことがキッカケである。
ここを一瞬、手法に思いを巡らせてしまった事が、突然話を脱線した原因だ。
→ 結論から話した後、論理の原点を誤らないようにする。
よく知らない言葉があったこと
数学から離れて久しい。積分とは何かをフンワリとしか理解していなかったので、積分について考える時間が長くなってしまった。ついでにポロリと口から出てしまった。
感銘を受けた言葉ぐらいはちゃんと調べておかないと、いっちょ噛みしただけという印象しか与えないだろう。
→ 感銘を受けたことについては、腹落ちさせておく。
あきらめたこと
せっかく何かを伝えようとしているのだから、ぐだぐだになったからといって諦めてはいけない。
「習慣はやることの積み重ねだよ」ということを伝えさえすればよかったのだ。
→ たとえ一字一句正確に言えない状態になったとしても、自分の理解の範疇にあることばに変換して伝える。
言語化に成功する
これらの反省を踏まえて、言語化をやり直すとこうなる。
私が最近読んだ本に『能力は習慣の積分、習慣は行動の積分』という言葉が書かれていた。
行動を積み重ねて、それを苦もなくこなせるようになると、それは習慣となる。
習慣が積み重なったものこそがその人の能力ということだ。
能力をつけるためには、まず習慣化するまで行動を続けなければならないと思い、最近朝早く起きて読書を始めた。
おわりに
- 積分は積み重ねではない
積分は面積を求める手法であり、積み重ねのことを指すのではなかった。
大まかには間違っていないと思うが、もしかしたら言葉の意味合いが異なる可能性がある。
積分とは何なのか?面積と積分計算の意味
- 読書を習慣化して得られる能力は何なのか、実は考え尽くせていない
読書が習慣化して得られる能力は何なのだろうか。
書籍から知識をインプットすることができる能力だろうか。
毎日書籍からインプットを続ける事ができる能力だろうか。
少し悩ましいことである。もちろん、読書の習慣付けを辞める理由にはならないが。